抄録
本報告は,衛生的立場から見たミニマム水量の概念についてまとめたものであり,研究の必要性,ミニマム水量の定義と基本概念,ミニマム水量算定の意義と応用,水使用用途と検討課題,文献によるデータの収集と検討項目の抽出,アンケート調査とミニマム水量の算定などについて述べている.本論文では,水使用状態を,非常時,緊急時,そして節水や有効利用を含む平常時,さらに平常時よりも余裕のある使い方という四つの段階としてとらえている.非常時,緊急時における生命維持や衛生保持の水準を考慮した限界水量(ミニマム水量)を明らかにすることができれば,それに余裕率を乗じることによって,日常の使用に対する設計値を合理的に算出することも考えられる.