本研究では,土壌の粒度分布の異なる5種類の土壌を対象に,サーマルプローブ法を用いて凍結・融解過程における熱伝導率の変化を実測するとともに,パルス型NMR装置により凍土中の不凍水分量の定量を行った.その結果,今回の実験条件では凍結・融解過程における熱伝導率の推移の差は小さく,また不凍水分量を温度の関数で表せ得ることが示された.また,熱伝導率の計算モデルの一つである3相系モデルを発展させ,凍土領域に適用可能なモデルを提案し,実測値と併せて適用可能性の検討を行った.その結果,これら土壌についてモデルから計算された熱伝導率は,全体的には未凍土・凍土の両領域にわたり実測値をよく再現することがわかった.