抄録
作業環境中の石綿繊維濃度測定の試料作成には,メンブランフィルタ法が用いられている.しかし,一般環境および室内環境中には,微細粉じんをはじめ非石綿繊維状物質が多数含まれ,粉じん全量をろ過する従来の試料作成法では,明りょうな計数試料は作成できない.本研究では,粉じんの捕集に,計数を妨げる微細粉じんの混入を防ぎ,計数に必要な繊維状物質を捕集するため,同一分離径のインパクタを直列接続した慣性集じん法を採用し,その捕集効率を得た.また,捕集粉じん中の非石綿繊維状物質を除去するため熱・酸処理を施した結果,日常生活から発生する合成・植物性・動物性繊維のほか,一部の鉱物性繊維が除去できた.