球カプセル氷蓄熱材を用いた蓄熱槽を最適に設計し,かつ制御するためには,槽の熱挙動特性を高い精度で予測する手法が必要になる.しかし,この予測精度は球カプセル氷蓄熱材単体の熱移動特性のそれによって支配される.本研究は,この球カプセル氷蓄熱材単体の蓄・放熱特性を高い精度で予測し得る計算資料の提供を目的としている.そこで本報では,まずカプセル内での相変化の様子を調べるために,凝固過程の可視化を行い,さらに凝固速度の測定を行った.そして,カプセル内の相変化による体積変化およびそれを吸収するための空間部分を考慮した凝固モデルを提案し,このモデルを用いて計算した熱通過率と実験値とがよく一致することを示した.さらに,凝固に関して従来から提案されているモデルと本凝固モデルとの比較を行った.その結果,従来モデルは提案モデルに比べて凝固初期に20%以上の高い熱通過率を与えるため,熱応答性が高く計算されることを示した.