人の温熱感覚と良い対応を示す生理量として,熱ストレスを表す平均皮膚温と体温調節ストレインを表すぬれ面積率が広く用いられている.本論文では,暑熱領域において椅座読書・裸体・静穏気流下で行った被験者実験から得られた,平均皮膚温,ぬれ面積率,蒸汗放熱量の変化特性および式展開から,等温感線が湿り空気線図上で負の勾配を持つ上に凸の曲線となること,平均皮膚温とぬれ面積率が温度感覚に相乗的に作用し,結果として等温感線は高湿度ほど等ぬれ面積率線に近づき,低湿度に移行するに従い等平均皮膚温線に近づく性向を持つことを示した.また,実際に算出される(S)ET^*が湿度の影響を過大に評価していることを確認した.