抄録
単一の円筒立て型蓄熱槽の上部に温度成層を利用した温水蓄熱を,槽下部に氷蓄熱を同時に行える温水・氷同時蓄熱槽を考案し,新築の事務所ビルに採用した.単一の円筒立て型蓄熱槽は鋼板製で槽の中央部には,密度安定器を設置しており,4℃の水を槽の中央部に安定させることにより,温水と氷の混合を抑制している.本研究では,円筒立て型温水・氷同時蓄熱槽と熱回収ヒートポンプの組合せを有する熱源システムの冬期における運転データにより,蓄熱運転・放熱運転の状況を調べ,熱負荷夜間移行率・蓄熱効率・蓄熱槽効率および省エネルギー性の解析を行うことにより,円筒立て型温水・氷同時蓄熱槽の高い性能を明らかにした.