抄録
本報では、前報にて整備を行った大気熱負荷の評価に資する基礎データを基に構築する、新たな大気熱負荷評価手法としての「重みつき大気熱負荷評価手法」の枠組みを提案するとともに、戸建住宅および事務所建物を対象に適用事例の紹介を行った。「重みつき大気熱負荷評価手法」は大気熱負荷を地表付近での気温影響で重みづけした大気熱負荷に換算することで、任意の時刻・地域・高さで大気熱負荷を変化させた場合の気温影響を考慮に入れた熱負荷変化量を評価可能とするものである。結果として、屋上面での対策などの高層位置における熱負荷変化や大気が不安定で上空拡散が活発な昼間における熱負荷変化(例えば高反射化など)の効果は相対的に低く評価する一方で、地表面近傍での熱負荷変化や夜間における熱負荷変化(例えば住宅の人工排熱)については相対的に高く評価しており、熱負荷の時空間特性を適切に評価する手法であることが示された。