揮発性の高い有害物質を取り扱うためのドラフトチャンバーは,一般に作業者前面の開口面の平均風速を制御し,開口面からチャンバー内上部の排気口へ向けた流れを形成することで発生有害物質を封じ込め,作業者の安全性を確保する。特定化学物質等障害防止予防規則では局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の開口面風速を 0.5 m/s 以上(ガス状汚染物質)と規定しているが,その風速測定条件は作業者の動作や実験器具の無い理想条件下を想定している。本研究では,排気機能のみが組み込まれた汎用型のドラフトチャンバーを対象として,一般的な実験室空間に設置された場合の局所排気装置としての性能を数値解析にて検討する。前報(第1 報)ではドラフトチャンバー前面の作業者は直立状態を想定した。本報(第 2 報)では,ドラフトチャンバー前面に立つ作業者の作業姿勢がドラフトチャンバー内で発生した汚染物質の封じ込め性能に与える影響を検討する目的で,特に作業者の腕がチャンバー内に挿入された状態を再現した上で,数値解析を基礎とした各種の換気効率指標によって,特に開口部の有害汚染物質輸送メカニズムを定量的に検討した結果を報告する。