空気調和・衛生工学会 論文集
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分岐管内の流動機構 : 第4報-主管におけるはく離点の実験的研究
嵩 哲夫川上 成一郎藤井 清美田波 精一
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1981 年 6 巻 16 号 p. 49-63

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抄録

主管内における境界層のはく離点を研究することは,分岐管内の流動機構を研究するに際して最も重要な要素の一つである.本報においては,流れが層流または乱流で主管上流側管路が比較的短く,分岐部分がいまだ助走区間内にある場合の境界層のはく離点を実験的・理論的に検討した.得られた結果を要約すれば,次のとおりである.まず,層流の場合においては次のことがわかった.1)実験結果によれば,はく離点は分岐角度θ_0および面積比mに応じて定まるが,一般にレイノルズ数R_<1r>,流量比Q_2/Q_1および主管管路幅h_1で規準化された主管上流側管路長さl_<1d>/h_1の増加とともに上流側に移動する.2)実験結果と谷の方法による解析結果を比較したところ,両者が定性的に一致することがわかった.次に,乱流の場合においては以下のことがわかった.3)はく離点は,理論的解析結果によればθ_0,m,R_<1r>,Q_2/Q_1およびl_<1d>/h_1の影響を受けるが,実験結果によればこれらのうちR_<1r>およびl_<1d>/h_1による影響はほとんど受けない.4)実験結果と理論的解析結果は,θ_0およびmにかかわらずいずれのQ_2/Q_1においてもR_<1r>およびl_<1d>/h_1が大きい場合はほぼ一致するが,R_<1r>およびl_<1d>/h_1が小さい場合には差異を生ずる.

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© 1981 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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