抄録
本研究の目的は、健康な中高年の住民を対象に、実行系機能とバランス機能にきき足による違いがあるかどうかを検討することであった。実行機能テストとしてTimed-Up-And-Go(TGUG)テストが採用され、バランス機能テストとして重心動揺計の指標(Romberg 比)が用いられた。調査対象群は、左足きき32人と右足きき200人であった。結果は、重心動揺計でのRomberg比の成績には左きき足群と右きき足群の間に違いが認められなかった。 しかし、TGUGテストでは、左きき足群の方が右きき足群よりも成績が有意に劣ることが明らかとなった。これらの結果は、前頭前野が実行機能を制御していることから、左きき足の中高齢者は右足ききの高齢者よりも実行機能が脆弱であるという仮説を支持している。