抄録
本研究の目的は、自己報告のほかに潜在指標も用いて謙虚と人生満足度の関係を調査することであった。研究1では、回答バイアスに影響されずに謙虚を測定できる謙虚―傲慢潜在連合テストの日本語版を開発し、その妥当性を確認した。研究2では、自己報告式の質問紙によって測定した顕在的謙虚と潜在連合テストによって測定した潜在的謙虚がそれぞれ人生満足度とどのように関連しているかを調査した。その結果、顕在的謙虚は人生満足度と有意な相関を示さなかったが、潜在的謙虚は人生満足度と有意な正の相関を示した。年齢と性別を統制しても同様の結果が得られた。これは、謙虚は単なる社会的美徳ではなく、自分自身にとってもポジティブな行動特性であるという仮説を支持するものであった。