資源地質
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テクトニックセッティングと部分融解の指標としてのオフィオライトを母岩とするクロミタイト鉱床: ザンバレスオフィオライトコンプレックス(ルゾン, フィリピン)の例
P. Gracianoユムロ
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1992 年 42 巻 231 号 p. 5-17

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抄録

ザンバレスオフィオライトコンプレックスは異なる岩石学的・地球化学的特徴を持つ2つのブロック,AcojeとCotoからできている.Acojeブロックは島弧的であり,Cotoブロックは,島弧と中央海嶺の中間的性質をもっている.Acojeブロックはクロムにとむクロミタイト鉱床(クロマイトのXCr>60)の母岩であり,アルミニウムにとむクロミタイト鉱床(クロマイトXCr<60)がCotoブロック中に存在している.この2つのクロミタイト鉱床の化学的相異は異なる組成を持つメルトによってもたらされたのであろう.2つのブロックが異なるテクトニックな環境で生成されたということと,このクロミタイト鉱床の異なる化学的性質とは調和的である.AcojeとCotoクロミタイトブロックの生成にとって,多段階メルティング,高い蒸気圧,高酸素フガシィティーが重要な働きをなしたであろう.あらゆる証拠は,Acojeクロミタイトのソースが,Cotoクロミタイトのソースに比べて,より高い部分融解の程度を受けたことを示している.

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