抄録
閃亜鉛鉱と塩化物水溶液間における亜鉛,鉄,マンガンおよびカドミウムの分配に関する実験を1 kbar,400および600℃の還元的条件下で行った.実験は次の3つの系に対して行った:ZnS-FeS-(Zn, Fe)CL2-H2O系,ZnS-MnS-(Zn, Mn)CL2-H2O系およびZnS-CdS-(Zn, Cd)CL2-H2O系.閃亜鉛鉱中へのFeS, MnSおよびCdS成分の最大固溶量は400℃においてそれぞれ49.19,24mol%であり,600℃において52,10,15mol%であった.各元素はCd>Zn>Fe>Mnの川頁に閃亜鉛鉱中に濃集する傾向を示した.このことは,共有結合性の強い元素ほど閃亜鉛鉱中に濃集しやすいことを示す.また,各元素の分配は温度の低下に伴いより著しくなる.