歯科医学
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小児歯科領域におけるキャスタブルセラミックスの応用に関する研究 : とくに摩耗性と圧縮疲労特性について
池本 博之
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1991 年 54 巻 6 号 p. 499-513

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抄録

小児歯科臨床にキャスタブルセラミックスを応用する目的で, その摩耗性および圧縮疲労特性について検討した.
実験方法
1. 摩耗体積測定試験 : 歯冠修復材料の物性に関係なく摩耗量を体積変化によって評価でき, また天然歯摩耗と直接比較できる摩耗体積測定法を新しく考案し, この測定方法の有効性について検討した. 次いでこの方法を用いてキャスタブルセラミックス, コンポジットレジンと乳歯の摩耗量をそれぞれ比較した. また, キャスタブルセラミックスの色調の調整に使用されるシェーディングポーセレンが摩耗性に影響を与えるかどうかを検討した.
2. 繰り返し圧縮荷重試験 : 咬合力計を用いて乳臼歯部における小児の最大咬合力を測定し, その結果から繰り返し圧縮荷重試験の上限負荷荷重を設定した. 次いで最高100万回まで繰り返し圧縮荷重を加えたのち, 圧縮破壊強さの測定を行い, キャスタブルセラミックスの疲労特性について計測した.
結論
1. 新しく考案した摩耗体積測定法は, 摩耗体積を測定するのに有用であった.
2. 各種歯冠修復材料を摩耗量で乳歯と比較したところ, キャスタブルセラミックスが最も乳歯に近い値を示した.
3. キャスタブルセラミックスの疲労強度は, 100万回の繰り返し圧縮荷重試験後においても小児の最大咬合力よりも高い値を示した.

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© 1991 大阪歯科学会
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