歯科医学
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Click音発現時の外側翼突筋下頭の筋電図
内田 愼爾井上 宏楊 寵[イン]叶 少波張 富強陳 玉琴[ハオ] 麗萍
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1994 年 57 巻 4 号 p. 282-290

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抄録

外側翼突筋下頭と顎関節内障との関係を検討するために, 痛みを伴わない click 患者を対象として, ゆっくりとした開閉口運動時の外側翼突筋下頭の筋電図を click 音および下顎運動とともに同時記録した.
 研究対象患者は中国上海第二医科大学口腔医学院口腔修復学講座および大阪歯科大学附属病院補綴第3科に来院した痛みを伴わない click がある患者14名で, これらの患者の click 発現側外側翼突筋下頭に 0.08mm の fine wire electrodes を口内法にて刺入し, 筋電図を記録した.
 14名中, 筋活動になんらかの異常を認めた患者は11名で, click 後に筋活動の低下を認めたものが7名, 開口運動時の外側翼突筋下頭の電位が正常者に比べ終始低い患者が6名であった. そのうちの2名は両所見を認めた. 正常者と同様の筋電図を示した患者は3名で, 明確な過活動やスパズムを示す症例は認められなかった. これらの結果より, 関節円板の前方転位は外側翼突筋の機能低下により起こる可能性が示唆された. また, 外側翼突筋下頭の筋電図を観察することで, 顎関節内障の進行状況をある程度把握することができることが明らかになり, 診査方法として有用な手段であることが示唆された.

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© 1994 大阪歯科学会
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