歯科医学
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診断に苦慮した下顎骨骨肉腫とその文献的検討
中嶋 正博堀井 活子森田 章介赤根 昌樹広田 克征郷 真奈武
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1995 年 58 巻 2 号 p. 144-148

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抄録
骨肉腫は頭頸部領域に発生することは比較的少なく, 臨床的および組織学的にも多様な像を呈するため, しばしば診断に苦慮する. 65歳女性が右側下顎部の疼痛と下唇の知覚異常を主訴に来院した. 初診時骨髄炎を疑い抜歯, 抗菌薬の投与を行ったが, 腫脹は徐々に増大し, さらに2週後のX線写真にて透過像の拡大, 旭日像の出現がみられた. 2度生検を行ったが確定診断が得られず, 摘出標本により骨肉腫と診断された. また本症例は局所制御されているにもかかわらず, 術後3年肺転移により死亡した. 本腫瘍の治療において微小転移巣制御のための化学療法の必要性が示唆された.
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© 1995 大阪歯科学会
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