歯科医学
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CD2架橋刺激によるSykおよびPl3-kinaseの活性化とNK細胞の顆粒放出能
黄建 勇梅原 久範堂前 尚親
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1999 年 62 巻 3 号 p. 127-135

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抄録

NK細胞は,MHC非拘束性に腫瘍細胞を認識して殺傷することができる.その機構は,CD2やCD16などがNK細胞活性化レセプターを刺激し,NK細胞からパーフォリンやセリンプロテアーゼを含む細胞内顆粒を放出させることによると考えられている.しかし,NK細胞活性化レセプター刺激から顆粒放出に至るシグナル経路についての詳細は未だ不明である.そこで今回われわれは,IL-2依存性ヒトNK様細胞株であるNK3.3細胞を用いて,CD2を介したNK細胞活性化機構とそのシグナル経路について解析を行った.プレートに固相化した抗CD2抗体で4時間NK3.3細胞に架橋刺激を加えたところ,上清中に放出されたBLTE esterase活性が増強していた.チロシンキナーゼ阻害剤であるherbimycinおよびPl3-キナーゼ阻害剤であるwortmanninは,CD2およびCD16架橋刺激による顆粒放出をほぼ完全に抑制した.また,CD2架橋刺激によりp72syk(Syk)のチロシンリン酸化とキナーゼ活性化が著明に増強し,細胞内に多数のチロシンリン酸化タンパクが出現した.さらに,CD2架橋刺激によりチロシンリン酸化タンパクとPl3-キナーゼとの結合量およびキナーゼ活性が共に増強していた.また,CD2架橋刺激によりアダプタータンパクの一つであるShc分子が強くチロシンリン酸化を受け,Shcに結合したPl3-キナーゼの活性も増強していた.以上の結果より,CD2分子はSykチロシンキナーゼの活性化を介して細胞内アダプタータンパクであるShcのチロシンリン酸化を誘導し,さらにShcに結合したPl3-キナーゼが活性化され,細胞内顆粒の放出を引き起こすというシグナル経路が明らかになった.

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© 1999 大阪歯科学会
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