歯科医学
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4 NQO誘発マウス舌癌発生過程におけるCK 19の発現について
山崎 行庸大西 祐一覚道 健治
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2003 年 66 巻 1 号 p. 72-79

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抄録

4-Nitoroquinoline 1-Oxide(以下4 NQOと略する)誘発マウス舌癌発生過程において,一連の発癌過程におけるサイトケラチン19(Cytokeratin : CK 19)の発現,さらに浸潤能との関係について検討する目的で免疫組織化学的検索および分子生物学的検索を行った.
 4 NQO溶解水(50 ppm)を飲料水とし自由に摂取させ,マウス舌に異型上皮,疣贅癌,高度浸潤癌を発生させた.次に免疫染色法にてPCNA,ETS-1を検討した.また各組織よりmRNAを抽出しRT-PCR法およびnorthern blotting法にてCK 19、MMP-3そしてETS-1について発現を検討した.
 CK 19 mRNA は正常上皮,異型上皮,疣贅癌の順に強く発現していた.また,高度浸潤癌では発現が弱くなる傾向が見られた.一方、MMP-3 mRNA, ETS-1 mRNAは正常上皮,異型上皮,疣贅癌そして高度浸潤癌の順に強<発現していた.
 以上の結果よリ,4 NQO誘発舌癌発生過程においてCK 19が関与していることが示唆された.また4NQO誘発舌癌における浸潤能についてはCK 19の抑制により細胞間接着の解離が起こり,浸潤転移の好条件に導いた.またETS-1によるMMP-3の発現上昇が浸潤増殖因子の一つであると思われた.

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© 2003 大阪歯科学会
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