歯科医学
Online ISSN : 2189-647X
Print ISSN : 0030-6150
ISSN-L : 0030-6150
学校歯科保健におけるう蝕活動性試験の応用について
岡田 友之上村 参生神原 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 66 巻 4 号 p. 289-301

詳細
抄録

う蝕減少傾向にある学童期に適応した永久歯う蝕発生リスク評価方法を構築する目的で,学校歯科健診時に2種類のう蝕活動性試験(Dentocult-SM^<[○!R]> Strip mutansおよびカリオスタット^<[○!R]>)を応用し,1年後の永久歯う蝕の発生予測について検討した.
その結果,SMにおいては,ミュータンスレベルが高い者ほどう蝕発生者率の高いことが明らがとなった.また,3年生以下では乳歯齲蝕経験状況と1年後の永久歯齲蝕発生との間に有意な関連が認められた,そこで,SMおよびdf歯数を用いて永久歯齲蝕発生に関するリスク基準値を,スクリーニング手法を用いて検索した結果,1年生時はスコア1以下をLow Risk,スコア2以上をHigh Risk,2年生以上ではスコア0をLow Risk,スコア1以上をHigh Riskに評価分類できることが明らかとなった.また,df歯数については,1年生時はdf歯5本以下をLow Risk,6本以上をHigh Risk,2年生および3年生時はdf歯無しをLow Risk,df歯有リをHigh Riskと評価分類することができた.さらに,1〜3年生時においては,df歯数とSMによる評価を総合することにより,敏感度,陰性反応的中率ともに90%を超え,相対危険度は,1年生時10.3,3年生時4.9であり,2年生時はLow Riskからのう蝕発生者はO%と,単独での評価よりう蝕予測精度が向上した.以上の結果より,学校歯科保健の現場でう蝕活動性試験を,定期健診時にリスク評価およびう蝕発生予測に応用することにより,健診時点でう蝕のない者に対してもう蝕発生リスクを提示することが可能となり,学童期のう蝕予防および口腔の健康増進に寄与できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2003 大阪歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top