歯科医学
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スクリュー型TAD(Temporary Anchorage Device)のトルク荷重時の応力解析
大崎 喜弘神原 敏之川本 達雄
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2007 年 70 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

近年,スクリュー型Temporary Anchorage Device(以下,スクリュー型TADと略す)の臨床応用が注目されている.スクリュー型TADには,負荷される力学的な荷重として,臨床における矯正力と埋入撤去時のトルク荷重がある.われわれは前回の報告で矯正力に対する応力解析において,スクリュー体の皮質骨部での直径が応力分散効率に影響しており,したがって同体積のスクリュー型TADを用いた場合ではTapered typeのスクリューが優れているという結果を得た.
  今回は引き続き,埋入的および撤去的の変形や破折の原因となるスクリュー体へのトルク荷重時の応力に注目した.スクリュー体の破折は,矯正固定源の喪失を惹起するだけでなく,場合によっては骨内に残存してしまい撤去が困難になることがある.
  現在,臨床においてスクリュー型TADはストレートタイプとテーパータイプの2種類の形態が利用されているが,両者のトルク荷重時における力学的な相違の報告はない.今回,スクリュー型TADの形態と荷重部位の相違が,トルク荷重時にどのように影響するかを3次元有限要素法により検討した.
  スクリューは,すべてチタン製とし,I.ストレートタイプ,II.テーパータイプの2種類とし,トルク荷重部位はスクリュー型TADの形状より,ドライバーの把持部位として①ヘッド最上郡と②スクリュー体最上部に規定した.スクリュー部歯槽骨は皮質骨を1mm,それ以外の部位を海綿骨と規定した.解析モデルは,3次元ソリッドモデラーで作成し,スクリュー体と骨の接着条件は,完全に固定した状態で右回りに1°の強制変位を起こした場合と規定した.結果,II-②テーパータイプでスクリュー体最上部に載荷したモデル,I-②ストレートタイプでスクリュー体最上部に載荷したモデル,II-①テーパータイプでヘッド最上部に載荷したモデル,およびI-①ストレートタイプでヘッド体最上部に載荷したモデルの順に優れていることが分かった.

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© 2007 大阪歯科学会
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