歯科医学
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新製法によるオールセラミッククラウンのコーピング強度の改善
井上 太郎柿本 和俊小正 裕
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2010 年 73 巻 3_4 号 p. 77-85

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抄録

我々は,オールセラミッククラウンのコーピングを特別な機器や複模型を使用せずに,短時間で容易に製作可能な焼成陶材法を開発し,臨床応用の可能性を報告した.一方で,強度については従来のコーピングより低く,改善する必要が明らかとなった.そこで今回は,混和する練和用アルミナ粉末の微粒子の粒径を4μmから8.5μmと大きくし,アルミナ粉末の配合比とコーピングの強度について検討し,コーピングの強度の向上を試みた.その結果,コーピングの3点曲げ強さは,160.4〜211.3MPaと大きく向上し,粗粒子と微粒子の混和比が40:50(wt%)において最も大きな強度を示した.コーピングの厚さを0.5mmにするには築盛回数は4回が適当であった.支台歯のマージン形態をラウンデッドショルダーと設計することで,軸面テーパー角が6°以上でコーピングの撤去が可能となった.以上のことから,成形性および操作性に優れ,強度が向上したコーピングの製作が可能となり,臨床応用の可能性が示唆された.

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© 2010 大阪歯科学会
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