歯科医学
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咬合印象法と通法から製作したクラウンの試適時での臨床調査
久保 大樹鳥井 克典大河 貴久佐藤 正樹龍田 光弘田中 順子田中 昌博
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2013 年 76 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
これまでに,咬合印象法と適法から製作された模型における咬合接触の再現精度が比較され,咬合印象法で製作された模型の方が良好であったとの報告がされている.しかし,2つの印象採得方法から製作されたクラウンの臨床的に比較された報告はほとんどない.そこで,咬合印象法と通法から製作されたクラウンを臨床的に比較することを目的とした.上下顎臼歯部に1歯のみの補綴処置を必要として大阪歯科大学附属病院に来院した患者60名を被検者とした.咬合印象法および通法のいずれかを用いて印象採得し,通法に従いクラウンを製作した.評価項目を,試適時の隣接歯間関係,辺縁適合性,クラウンの高さおよび咬合調整時間とした.隣接歯間関係には,接触点診査用ゲージを用いて評価した.辺縁適合性を,視診および探針を用いた触診にて評価した.咬合検査材を用いて,クラウン試適前後での近心隣接歯咬合面の検査材の透過光量からクラウンの高さを推定した.咬合調整時間として,咬合調整開始から研磨終了までに要した時間を計測した.それぞれの評価項目を咬合印象法と通法とで比較した.統計学的解析は,咬合印象法および通法の独立した2群の比較をするために,Mann-Whitney検定を行った(p<0.05).隣接歯間関係,クラウンの高さおよび咬合調整時間において,咬合印象法と通法の間に有意差が認められた(p<0.05).辺縁適合性において,両法間に有意差は認められなかった.
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© 2013 大阪歯科学会
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