抗菌性,生物忌避性,さらには難燃性を付与したシリカナノ粒子の調製について検討した。抗菌性シリカは粒子表面へホスホニウム塩基含有ポリマーをグラフトすることにより行った。抗菌性シリカを添加した樹脂や塗料は黄色ブドウ球菌や大腸菌に対して強力な抗菌性を示した。得られた複合体は,固定化しない抗菌性ポリマーを添加した樹脂とは異なり,24時間煮沸した後でも抗菌性を保持していた。さらに,生物忌避性のカプサイシン(Cap)を固定化したシリカは粘膜に対する刺激性を保持していたが,生物忌避性は小さかった。そこで,Capの層状複水酸化物(LDH)へのインターカレートについて検討した。その結果,CapをインターカレートしたLDHを添加したシリコーンゴムはフジツボの幼生に対して忌避性を示すことを見いだした。また,シリカ表面へのハロゲン系,およびリン系難燃剤の固定化と難燃剤固定化シリカを添加したエポキシ樹脂の難燃性についても検討した。