色材協会誌
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研究論文
塗膜の硬化速度解析
-触媒添加したMEKOブロックイソシアネート系での律速過程-
森 寛爾
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2016 年 89 巻 5 号 p. 145-148

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抄録

2-ブタノンオキシム(MEKO)をブロック剤としたブロックイソシアネート硬化塗料に種々の濃度で硬化触媒を添加し,振り子式粘弾性測定装置によって150℃での硬化にともなう貯蔵弾性率変化を解析した。貯蔵弾性率変化を一次反応速度式に当てはめて得られる速度定数kは,膜厚に対して触媒添加量0.01 PHRでは一定であり,0.05~0.4 PHRでは触媒添加量によらず1本の単調減少曲線となり,0.02 PHRの場合はこれらの中間となった。硬化速度が膜厚依存性をもつことと,ブロックイソシアネートのみを熱重量分析するといずれの塗膜よりも速い時定数で減量することから,触媒添加量0.02 PHR以上では塗膜内でのMEKOの拡散が硬化速度を制限していると推定された。ブロック硬化剤を用いた塗料の硬化速度の上限は,ブロック剤の解離温度だけではなく,ブロック剤の拡散速度にも依存すると推定された。

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© 2016 一般社団法人 色材協会
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