2020 年 93 巻 2 号 p. 49-53
高い酸化力を有するチオキサンチリウム有機色素の分子設計と合成法を確立し,それを光増感剤とする緑色光照射下フォトレドックス触媒反応への応用に成功した。とくに既存の有機フォトレドックス触媒では効率的に反応が進行しないラジカルカチオンDiels-Alder反応やoxa-[4+2]環化付加反応へと適用することが可能であり,わずか0.01当量のチオキサンチリウム触媒を用いて目的とする環化付加体を高収率で得ることに成功した。チオキサンチリウム触媒の高い酸化力がこれらの反応の進行を促進したと考えられ,緑色光を光源とした新たな有機合成反応への応用が期待される。