2022 年 95 巻 7 号 p. 185-188
2-ヒドロキシトリプタントリン(T2OH)の1-位にベンゾチアゾールをプロトン受容体とする1-(2-ベンゾチアゾニル)-2-ヒドロキシトリプタンスリン(T2OH1BT)を合成し,光物性を検討した。T2OH1BTは極性溶媒中ではヒドロキシ基のプロトン解離により630 nmから670 nmで蛍光発光し,低極性溶媒中では励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)により575 nmから610 nmで蛍光発光することがわかった。また,一般的なトリプタントリン誘導体は平面構造のため固体状態では蛍光を発しないが,T2OH1BTは固体状態でも蛍光発光が観測された。