ジビニルベンゼンで橋かけした単分散ポリスチレンラテックスは, テトラブチルアンモニウムブロマイド・ [(C4H9) 4N] Br (TBAB) を仲介として, “フラッシング” により, ベンゼン, 酢酸ブチルなどを分散媒とする有機系ラテックスにすることができた。
TBABは, 水性ラテックスに入れてから有機溶媒 (展色剤) と接触させても, 逆に有機溶媒中にTBABを溶かしておいて水性ラテックスと接触させても, ラテックス粒子は水分散媒から有機分散媒へと移行した。
この時のTBABの動きを電導度測定により追跡したところ, 有機溶媒中に溶かされたTBABは, ラテックスと接触後, すぐに, ほとんど全部が水分散媒へと移行してしまい, そこでラテックス粒子表面に吸着され, そして十分にTBABを吸着したラテヅクス粒子は, 水分散媒から有機分散媒へと移行することがわかった。
TBABは一価のイオンではあるが, 界面活性剤的性質をもつため, ラテックス粒子表面に吸着されることが “フラッシング” を可能にする原因と推定できる。