色材協会誌
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自動車用上塗り塗膜の暴露過程における割れ・はく離現象の解析
田中 丈之
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1979 年 52 巻 7 号 p. 359-368

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抄録
自動車用メタリック塗装における最も大きな塗膜欠陥として, トップコートクリヤー塗膜の割れ・はく離現象がある。各種の暴露条件による割れ・はく離現象を走査顕微鏡により観察し, その発生過程を次の4経路にまとめた。
1) 樹脂の分解, 塗膜の伸縮性の低下により小さなひび割れ (チェッキング) が発生, これが成長しクラッキングとなる。この割れが縦横にできウロコ状の塗面となる。振動, 水分などにより層間付着力が低下しはく離する。
2) 1) と同様な経路でチェッキングを発生する。チェッキング部や塗膜を水分が透過し, 割れ目に沿ったブリスター状のふくれを生じ, はく離へと発展する。
3) 紫外線によりクリヤー塗面にエロージョンができ, それに塗膜の収縮力が加わり割れを発生する。
4) クリヤー塗膜を水分が透過しブリスターを発生する。ブリスターの立上り部に割れができ, 円形のはく離へと進む。
割れ現象の促進試験法について検討した。割れの促進試験条件としてB・P・Tを90℃以上, 降水温度を7℃, 降水サイクルを6分降水, 24分無降水, 湿度を93%以上としたNAW (Nichiyu Accelerated Wether condition) が促進効果が大きい。この条件での塗膜の割れ発生時間はJISなどの規格による試験時間の35%の時間であり・割れの形状もよい相関性があった。
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