色材協会誌
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TBA法によるエポキシ系塗膜の熱劣化機構に関ずる研究
小菅 詔雄向原 文典
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1982 年 55 巻 10 号 p. 709-714

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抄録

鋼管内面に塗布するエポキシ系塗料塗膜の熱安定性を評価するために, TBA (Torsional Braid Analysis) を用いて塗膜の動的粘弾性の経時変化を追跡した。その結果, 空気中において加熱過程の初期に現われる対数減衰率の極大点は塗装鋼板の耐衝撃性と屈曲性が大きく低下する脆化点に相当する。脆化点にいたる時間の対数と絶対温度の逆数の問には直線関係が成立することを確認してから, 高温側の値を低温側に外押して脆化時間を求め, これを熱寿命値とした。熱寿命値は塗料の種類によって異なり, 顔料成分を含まない塗料の方が大きい。
さらに, 塗膜を長時間加熱すると相対剛性率は極大ピークを示し, これを熱分解時間とした。この点の温度依存性もアレニウス式で示され, 活性化エネルギーは熱重量分析法で得られたものより多少高い値となる。

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