1982 年 55 巻 4 号 p. 213-218
感熱, 感圧用色素の研究に関連して, フルオラン系とトリフェニルメタン系色素の発色機構をπ電子系の計算に有効であるPPPMO法 (The Pariser-Parr-Pople Self Consistent Field Molecular Orbital Method) を用いて検討した。これら色素の実測吸収スペクトルと計算値との間には良好な相関性が得られた。吸収スペクトルにおよぼす置換基効果を, 励起に伴なうπ電子密度変化と, HOMO-LUMOエネルギーレベルの変化から検討考察し, その発色機構を明らかにした。そして, それらを応用したフルオラン系色素の合成デザインについて考察した。