色材協会誌
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塗装鋼板の耐久寿命予測法に関する研究 (第IV報)
塩化ビニル樹脂系塗装鋼板の耐はく離寿命の予測
竹島 鋭機川野 敏範高村 久雄阿波 克全
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1983 年 56 巻 4 号 p. 228-238

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抄録

塩化ビニル樹脂系塗装鋼板を外装建材に使用する場合, 使用条件によっては塗膜がはく離する場合がある。以前から, この塗膜の耐はく離寿命を予測する方法の開発が要望されている。筆者らは, 塗膜表面の塩化ビニル樹脂中の塩素量をケィ光X線で測定し, その値から塩化ビニル樹脂の分解程度を求める方法による塗膜の耐はく離寿命の予測に関して検討した。得られた結果は, 以下のとおりである。
(1) ケィ光X線のClKα線/TiKα線の強度比で, 塩化ビニル樹脂中の塩素量を精度良く測定できる。
(2) 屋外暴露試験によるClKα/TiKαの保持率と塗膜はく離とは相関性があり, ClKα/TiKαの保持率が70%以下になると, 本試料は塗膜はく離を起こす。
(3) 屋外暴露試験によるClKα/TiKαの保持率の経時変化は, 塩化ビニル樹脂系塗膜の膜厚, 酸化チタソおよび酸化鉄系顔料の量などによって影響される。 (4) 促進暴露試験によるClKα/TiKαの保持率の経時変化を求めることによって, 短期間で塩化ビニル樹脂系塗装鋼板の耐はく離寿命を予測することができる。

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