色材協会誌
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EVA・ASグラフト共重合の重合因子と物性および形態的相構造の研究 (第II報)
成形におけるミクロ相構造
植村 勝
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1984 年 57 巻 3 号 p. 111-117

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抄録

エチレン・酢酸ビニル共重合体 (EVA) を幹ポリマーとしてアクリロニトリル (AN), スチレン (ST) をグラフト重合し, 重合条件とミクロ構造につき前報1) で報告した。 (EVA・ASグラフトマー) 当研究のEVA・AS共重合体は, 成形加工において層状剥離を起こす。本題では, 電顕のミクロ構造観察により重合条件と層状剥離の関係を探索し, 次の結果を得た。
(1) サスペンション重合ではEVAを分散粒子として安定化することは困難であるが, エステル交換したEVAを用いたバルクサスペンション重合では容易に分散安定化できる。すなわち, メチルメタクリレート (MMA) エステル交換によるバルクサスペンション重合では, 最も安定した網目構造の分散粒子となり, その大きさは2~3ミクロンである。
(2) 射出成形における層状剥離は, ASのEVAへのグラフト率に依存し, 80~90%で剥離は起こらなくなった。しかもEVA粒子が網目構造をとる時, 射出成形のような高いせん断域においても分散状態は変らず安定している。フリーのEVAが多い状態では層状剥離は大きい。

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