色材協会誌
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塗装鋼板の耐久寿命予測法に関ずる研究 (第IX報)
塩化ビニル樹脂塗装鋼板の耐久寿命予測マップの作成
竹島 鋭機川野 敏範高村 久雄水木 久光
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1984 年 57 巻 4 号 p. 174-185

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抄録

屋外暴露試験を5地区で8年間行った後の塩化ビニル樹脂塗装鋼板の劣化状態を, 塗膜の外観変化, 化学的変化, 物理的変化および接着力の変化などの観点から検討するとともに, 材料特性問の相関性や劣化要因の作用効果などについても検討し, 次のような結果を得た。
(1) 塩化ビニル樹脂塗装鋼板の劣化状態は, 塗色および暴露試験地によってかなり変動するが, 耐候性の悪い塗色ほど暴露試験地による劣化程度のバラツキが大きい。
(2) 塗膜中の体質顔料 (CaCO3) の減少と, 塗膜われ, 光沢の低下および変色などの外観変化との間には相関性が認められる。この体質顔料の減少を抑制するには, 酸化チタン顔料の配合量を増やすのが効果的である。
(3) 塩化ビニル樹脂が分解して架橋体や低分子量体を生成する反応は, 酸化チタン顔料の配合量によって変化する。これは酸化チタンの光化学反応によると考えられる。
得られた解析結果によって, 塩化ビニル樹脂塗装鋼板の耐久寿命予測マップが作成できる。このマップによると, 西日本の太平洋岸がもっとも劣化促進作用が大きい。また, ブルー色を例にとると, 劣化要因の厳しい尼崎は温和な帯広に比べると, 劣化促進作用が約1.65倍も大きいことがわかった。

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