色材協会誌
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漆/NAD混合塗膜の物性
大薮 泰坪田 実
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1986 年 59 巻 2 号 p. 61-67

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抄録

漆の改質剤あるいは増量剤としての添加物を目的に, 性質の異なった2種の非水ディスパージョン樹脂 (NAD-A, NAD-C) を選び, 漆/NAD混合塗膜の物性を中心に検討した。結果をまとめると次のようである。
(1) NAD-A, NAD-Cともに混合状態は良好で, 貯蔵中の分離・増粘・ゲル化などは認められなかった。
(2) NAD-Aは従来の油類の添加と同じような傾向がみられ, 可塑剤的挙動を示した。
(3) NAD-Cは光沢が上昇し透明性も高くなり, 漆の改質剤としての効果が期待でき, また塗膜物性においては多少の低下 (高温弾性率, ガラス転移温度) が認められたが, 油類やNAD-Aに比べ欠点が少なく増量剤的効果も期待できる。
以上の結果よりNADを漆に混合する場合, NADの調製, すなわち分散媒の設計, 分散媒/ポリマー粒子の比, およびポリマー粒子のガラス転移温度などの工夫により, 混合塗膜に要求する塗膜性能を充足しうると考えられる。

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