色材協会誌
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有機スズポリマーの加水分解機構と防汚性能
高橋 一暢大八木 義彦
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1987 年 60 巻 7 号 p. 375-380

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抄録

有機スズポリマーであるメチルメタクリレート (MMA) /トリブチルスズメタクリレート (TBTMA) 共重合体の海水中における加水分解機構と防汚性能との関係について検討した。
TBTMA含有量の異なるMMA/TBTMA共重合体を合成し, 共重合体の塗膜表面から海水中へ溶出するトリブチルスズ化合物を, 電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフィー (ECD-GC) により定量した。そして, トリブチルスズ (TBT) の溶出速度と防汚性能との関係から共重合体の加水分解機構について考察した。
その結果, MMA/TBTMA共重合体のTBTの溶出速度はTBTMA含有量として, 約25mol%以上より急激に増加する事が明らかとなった。これは, MMA/TBTMA共重合体中のトリブチルスズの立体障害効果 (Steric hindrance effect) による事が考えられた。また, TBTの溶出速度が1~2μg/cm2/dayであれば海生生物の付着を完全に防止できる事もわかった。

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