色材協会誌
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顔料表面におけるスチレンの重合
福井 寛田中 宗男中野 幹清
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1988 年 61 巻 5 号 p. 277-283

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抄録

顔料にスチレンを気相で接触させ顔料の表面処理を試みた結果, 紺青や酸化鉄などのように良好に疎水化できるものと二酸化チタンや群青のように疎水化できないものとがあることがわかった。スチレンの気相処理によって疎水化する顔料は表面にポリスチレンが生成しており, リナロールの分解作用が弱くなっていた。
顔料をスチレンの中に分散させてポリスチレンの生成を検討したところ, 気相処理によって疎水化される顔料にはポリスチレンの生成がみられたが, 疎水化されない顔料には重合の活性がなかった。ポリスチレンを生成する顔料も分子量約2,000のオリゴマーしか生成しないカオリンと約30万のポリスチレンを生成する紺青や酸化鉄に分類することができた。生成する分子量の違いはスチレンの重合機構によるものと考えられ, 顔料の性質から, カオリンはカチオン重合でオリゴマーを, 酸化鉄はラジカル重合によって分子量約30万のポリスチレンを生成したと推定した。

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