色材協会誌
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紫外線硬化被膜による鋼管の防錆処理法に関する研究 (第1報)
鋼管一時防錆用紫外線硬化被膜の特性に及ぼす樹脂組成の影響
新井 哲三大北 雅一新井 邦彦
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1989 年 62 巻 4 号 p. 208-214

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抄録

アクリル酸とアクリル酸エステルとの共重合物 (アクリル共重合物) とアクリレートから成る紫外線硬化樹脂 (UV防錆樹脂) の鋼管一時防錆被膜への適用性について検討した。
アクリル共重合物をUV防錆樹脂に配合すると, その鋼管外表面への密着性は向上する。これは, 共重合成分, 比率を調整されたアクリル共重合物が, 鋼管外表面に付着する鉱油に近いSP値 (7~9) をもつためである。
その配合量を増やせば, 密着性は向上するが, 被膜の防錆性の低下を伴うので, 約20wt%が最適である。
また, UV防錆樹脂に含まれるカルボキシル基の濃度 (酸価) は, 被膜のアルカリによる溶解性 (アルカリ脱膜性) と防錆性を左右する。アルカリ脱膜性は, 酸価が増えると向上し, 防錆性は, 酸価が増えると低下する。さらに, カルボキシル基を持つアクリル共重合物ならびにカルボキシルアクリレートの種類は, 防錆性に影響を与える。2塩基酸系のアクリル共重合物並びにカルボキシルアクリレートを添加した場合, 被膜の吸水率が増大し, 防錆性の低下をもたらすので, 1塩基酸系のものを用い, 酸価を40~60とするのがよい。

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