色材協会誌
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防食塗装に関する研究 (第2報)
ポリアクリル酸処理による湿潤密着性の向上について
Werner FUNKE山辺 秀敏
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1991 年 64 巻 10 号 p. 630-637

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抄録

塗膜 (ポリマー) と基材 (鋼板) の湿潤下における密着性 (湿潤密着性) は塗膜と基材の界面に形成される結合の水に対する安定性により決まる。そのためには高い結合エネルギーを有する共有結合, イオン結合等の一次結合を形成させる必要がある。本報ではポリアクリル酸水溶液およびその他の水溶性ポリマーにより鋼板を処理し, 塗膜の湿潤密着性に及ぼす効果を調べた。その結果, 処理層のポリアクリル酸のカルボキシル基と鋼板表面の問に電子の移動を伴う強いイオン結合が存在することがFT-IR/RASおよびxPsにより確認され, また非常に良好な湿潤密着性を示すことも確認された。また湿潤密着性は処理液濃度および処理に用いたポリアクリル酸, ポリメタクリル酸およびその共重合体の性質の影響を受け, 処理液濃度 (遊離カルボキシル基濃度) およびTgに依存することが確認された。また湿潤密着性に優れたポリアクリル酸処理は耐塩水噴霧性にも優れ, 湿潤密着性と防食性の間に相関がみられた。

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