1991 年 64 巻 12 号 p. 757-763
酸性染料と多核アルミニウム塩から, 安全性が高く, 染料溶出性の低いレーキが得られることは知られている1) が, 得られる粒子は不定形で粗大なものであり, 分散性や着色力には問題があった。今回我々は, 顔料生成段階における粒径および形状の制御を考え, W/Oエマルションの中の微細な水滴に着目した。
今回, 多核アルミニウム塩としてAl13O4(OH)24(H2O)12Cl17を用いて, 種々の酸性染料によりW/Oエマルション中において多核アルミニウムレーキの調製を行った。本方法によって得られた顔料の粒径は0.5μm以下と非常に微細なものであり, その形状は球形であった。また, 生成する顔料の粒径は, 調製に用いるW/Oエマルションの組成, 特に界面活性剤濃度によって変化することが判った。この球状微粒子顔料は, その表面に調製に用いた界面活性剤が残留しており, 優れた油中再分散性を備えていた。また, 実際に顔料を着色に用いたところ, 本顔料は高い着色力をもち, その着色物は高い彩度を備えていた。