色材協会誌
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調光ガラス
多田 弘明
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1993 年 66 巻 6 号 p. 344-351

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抄録

現在までに提案されている各種chromogenicを用いた代表的な調光ガラスを取り上げ, 建築車両における省エネ性能に重点をおいて性能比較を行った。冷暖房および照明負荷の軽減効果の代用特性として, 太陽光透過率変化幅および視感透過率変化幅を用いることができることを示した。解析の結果, フォトクロミック素子は照明負荷を軽くするが, 冷暖房負荷の軽減効果は小さい。また, サーモクロミック素子はその逆であり, さらにポリマー分散型液晶素子はいずれの効果にも乏しいことがわかった。これに対して, エレクトロクロミック素子, さらに我々が最近作製したTiχNУ微粒子を用いた素子が省エネ性能の点で有望であることを明らかにした。これらの大きな省エネ効果は, いずれも可視から近赤外域の光に対する大きな透過率変化に起因するものである。さらに, 各種調光ガラスの課題を明確にし, 今後の展望について述べた。

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