色材協会誌
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導電粉を用いた画像記憶システム
矢敷 雄一
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1994 年 67 巻 5 号 p. 293-299

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抄録

高速連続複写プロセスにはゼロプリント方式が適しており, それに使用されるマスターとして, 導電粉の電気泳動 (マイグレーション) を応用して画像を記憶することができる感材を開発した。これは, 導電粉が電荷輸送物質に対して電荷注入性を有することを利用して, 熱軟化層の表面近傍に埋め込まれている導電粉を荷電させた後に加熱し, 軟化した熱軟化層中を静電引力により泳動させるものである。導電粉泳動後の帯電性は低下し, 泳動しないものとの間にコントラストを生じることにより画像が記憶される。コントラストを大きくするには泳動後の帯電性は低いほど良いが, 代表的導電粉であるITOとATOを用いた実験結果によれば, それには電荷注入性といった導電粉自体の物質よりは, 粒子の分散 (凝集) 状態の方が寄与していると考察した。

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