色材協会誌
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XPS価電子帯スペクトルを利用したアクリル塗膜の表面分析
山本 陽一郎坪内 健治郎
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1997 年 70 巻 11 号 p. 717-723

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抄録

アクリル塗膜の表面分析手法として, X線光電子分光法 (XPS) による価電子帯スペクトルの利用検討を行った。
O2sスペクトルを利用すると, エステル基とカルボキシル基については識別できなかったが, これらの官能基と水酸基とは明確に識別できた。一方, 価電子帯スペクトルを利用すると, 樹脂単独膜については, アクリルホモポリマーから実用的な塗料用樹脂まで幅広く同定手法として活用できることを確認した。2成分共重合体のキャスト膜については表面のモノマー比を, 2成分混合キャスト膜については表面組成比を定量できた。硬化塗膜の場合には, 架橋反応によるスペクトル変化が起こるため, 硬化に関与する樹脂成分については適用できながったが, 表面に偏在する未硬化樹脂成分は定量できた。

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