1999 年 72 巻 7 号 p. 432-440
5種類のジケトピロロピロール顔料の固体状態における色調を励起子結合効果の立場から検討した。これらの顔料は溶液状態ではほぼ同じような吸収スペクトルを示すが, 固体状態では純度の高い赤から黄色味を帯びた赤に到るまで様々な色調を示す。この色調の変化が励起状態における相互作用 (励起子結合効果) に起因するとの視点から検討を行った。これらの顔料の結晶構造を基礎に励起子バンドの計算から, 固体の吸収スペクトルをほぼ半定量的に説明出来る事が明らかになった。