2002 年 75 巻 4 号 p. 162-166
バーコーターを用いてインク吸収層のモデルを作製し, インクのにじみを薄層クロマトグラフィー (TLC) によって検討した。モデルとなるインク吸収層はシリカ微粒子の周囲にカチオン界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムプロミド (CTAB) を吸着させ, バーコーターで基板上に塗布することにより作製した。作製したインク吸収層は, CTABの吸着量に関係なく厚さが2-8μm程度の薄膜であった。また, TLCによって各吸着量におけるインクのにじみを検討したところ, 塗布分散溶液のζ電位が大きくなるのにともなって, にじみも抑制されることがわかった。にじみの抑制は, インクに含まれている染料とCTAB間の静電的な引力に起因していると考えられる。