2004 年 77 巻 11 号 p. 493-498
ベーマイト処理をほどこしたアルミニウム箔を用いた発色機構の解析を行った。ベーマイト処理は沸騰状態にした蒸留水でアルミニウム箔表面を処理する方法で, この処理によりアルミニウム箔表面にはベーマイト (AlOOH) と呼ばれる水酸化アルミニウムが生成される。このベーマイト処理表面は塗膜, エポキシ樹脂および低密度ポリエチレンなどに対して強い接着力を発現することが知られている。ベーマイト処理面はアルミニウム箔の金属光沢面とほとんど変わらない。この処理面に白金 (Pt) をコートしたところ, ベーマイト処理時間によって様ざまな色に発色した。この発色機構をしらべるため, 処理面の形状観察と多層膜干渉の反射率シミュレーションを行った。その結果, ベーマイトは針状結晶の多孔質膜であり, Ptはこれらの形状に沿ってコートされていた。この発色機構はベーマイト層とPtコート層の多層膜干渉によって説明できた。