色材協会誌
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可視光応答型酸化チタン光触媒前駆体のTPD-MSによる評価
井原 辰彦三好 正大入山 裕
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2004 年 77 巻 5 号 p. 201-206

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抄録

大気雰囲気下, 適切な温度で焼成すると可視光活性を示すことが確認されている硫酸チタンあるいはチタニウムインプロポキシドとアンモニアとの反応によって合成した水酸化物 (SHy-NH, AHy-NH) について, 昇温脱離-質量分析 (TPD-MS) を行った。SHy-NH, AHy-NHいずれの場合も100℃以下では水のみの脱離が確認された。100℃を越えるとアンモニアの脱離が始まり, この脱離は200℃付近で極大となり, 450℃付近まで続くことがわかった。
SHy-NHでは, 洗浄工程で除去されなかった硫酸イオンの脱離に帰属されるSO2+ (m/z64) のシグナルが400℃付近から観察された。以上の結果と焼成温度と可視光活性の発現の関係から, 可視光活性は水酸化物の焼成工程中に生じる揮発成分の脱離によって引き起こされる酸素欠陥が原因していると考察した。

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