植物環境工学
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論文
‘カワヅザクラ’ (Prunus lannesiana Wils. ‘Kawazu-zakura’)の花芽形成と発達
村上 覚末松 信彦水戸 喜平中村 新市
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2007 年 19 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

南伊豆地域の‘カワヅザクラ’における花芽形成とその発達について調査した.花芽形成は7月上旬に花房分化期に達していた.その後,9月上中旬にがく片形成期,10月上旬に花弁形成期,10月中旬に雄ずい形成期と進んでいった.花芽形成は花弁形成期以降に年次間差と植栽地による差がみられたものの,いずれの年次及び植栽地においても11月下旬には胚珠形成期に達していた.胚珠形成期に達するのが早い年次あるいは植栽地では,気温が低く推移する傾向が認められ,花芽形成には気温が影響することが示唆された.花芽の発達は,蕾が割れて緑色が見える状態から開花までに1ヶ月以上を要した.1つの花芽における開花期間は約2週間と長く,同日の観察日においても異なる状態の花芽の混在が観察された.‘カワヅザクラ’は生育状態の異なる花芽が連続的に開花し,かつ1つの花芽の開花期間が長いために長期間開花を続けると考えられた.

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© 2007 日本生物環境工学会
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