植物環境工学
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Ebb & Flowシステムにおけるかんがい水の溶存酸素濃度が鉢花シクラメンの生育と出荷後品質に及ぼす影響
前田 茂一仲 照史角川 由加後藤 丹十郎
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2009 年 21 巻 4 号 p. 169-174

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抄録

Ebb & Flowシステムで鉢底面から給水したかんがい水のDO濃度が, シクラメンの生育と収穫後の鉢花品質に及ぼす影響を調査した. かんがい水のDO濃度は酸素発生機と空気圧縮機を使用して, 処理濃度により4~6ppm (対照区), 7~9 ppm, 15~18 ppm, 30~35 ppmの4段階に設定した. かんがい水は, DO濃度を高めるほどpHが上昇したが, 栽培終了時に培養土のアルカリ化やシクラメンの生理障害は見られなかった. また, かんがい水のDO濃度が15 ppm以上の時, 高温期における生育抑制が回避されるとともに栽培期間全般を通して生育が促進され, 開花時期が早まることが示された. しかし, 弱光の観賞条件下における出荷後品質は, かんがい水のDO濃度が15 ppm以上で低下しやすく, 7~9 ppmで良好に保たれた. 以上より, Ebb & Flowシステムを用いたシクラメン生産で出荷時までかんがい水のDO濃度を一定にする場合は, 出荷後品質が良好となる7~9 ppmに設定するのが望ましいと考えられた.

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© 2009 日本生物環境工学会
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