植物環境工学
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論文
赤色光と青色光がレッドリーフレタスのアントシアニン蓄積と生合成遺伝子の発現に及ぼす影響
庄子 和博後藤 英司橋田 慎之介後藤 文之吉原 利一
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2010 年 22 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

明期の青色光強度がアントシアニン蓄積に影響するかどうかを調べたところ, 明期の青色光量を増やすとアントシアニン蓄積は促進されるが, 処理20日目までは効果が持続しなかった. 次に, LEDランプを用いて連続光条件における赤色光と青色光の割合がアントシアニン蓄積に及ぼす影響を調べた結果, アントシアニン含量は青色光の割合が高まるほど大となることが示された. そこで, アントシアニン生合成の光質応答を分子レベルで理解するために, レッドリーフレタスから単離できたアントシアニンの生合成遺伝子群について(CHS, F3H, DFR, ANS, UFGT )リアルタイムPCR法で発現解析を実施した. その結果, R100区では5遺伝子とも発現は認められなかったが, B100区とR50B50区ではCHS, F3H, DFR, ANS およびUFGT の発現が4時間までに上昇し, 48時間では低下した. F3H, DFR, ANS の発現が24時間までに上昇し, 48時間では低下したが, CHSUFGT の発現は大きく変化しなかった. これらの結果より, レッドリーフレタスの光質に対するアントシアニンの生合成や蓄積に関する制御機構には, 赤色光と青色光の割合が密接に関係していることが明らかとなり, 特にCHSUFGT の発現が青色光のPPFレベルに敏感に応答しているものと考えられた.

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© 2010 日本生物環境工学会
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