日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: S1-1
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主題セッション1 小腸疾患の診断・治療における内視鏡の進歩
ベーチェット病の小腸病変に対するカプセル内視鏡検査と便中カルプロテクチン測定の有用性
*林田 真理三好 潤和田 晴香尾崎 良菊地 翁輝徳永 創太郎箕輪 慎太郎三井 達也三浦 みき齋藤 大祐櫻庭 彰人松浦 稔久松 理一
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抄録

【背景】 ベーチェット病(BD)の小腸を含む消化管病変の合併率は10-15%と報告されている。小腸病変については腸管BD患者における検討はあるが、BD患者における小腸病変のスクリーニングの重要性は確立していない。

【目的】 小腸用カプセル内視鏡(CE)を用いて小腸病変をスクリーニングし、BD患者における小腸病変存在の予測因子を検討する。

【方法】 2016年4月から2018年3月に当院通院中のBD患者で、本研究への参加に同意した27例(男女11:16名、中央値41歳)を対象とした。CEで観察した小腸病変について健常人145名の既存データ(Fujimori et al, J Clin Gastroenterol. 2016)と比較検討した。小腸病変予測因子の探索のため、年齢、性別、罹病期間、Body Mass Index、消化器症状、眼病変、血液検査(白血球、貧血、アルブミン、CRP)、便潜血、便中カルプロテクチンについて検討した。(杏林大学医学部倫理委員会承認番号694-01)

【結果】 小腸病変(びらん及び潰瘍)数についてBD患者と健常人で比較したところ、BD患者3.07 ± 1.46、健常人0.32 ±0.12(p < 0.0001)であった。本結果よりCEにて1個以上の小腸病変を認めた場合にはBDに合併する小腸病変を有すると定義した。小腸病変の有無についてROC曲線解析より便中カルプロテクチン検査のカットオフ値を119μg/gと設定すると、感度100%、特異度88.9%、陽性的中率80%、陰性的中率100%であり、他の因子よりも優れていた。

【結論】 BD患者は健常人よりも小腸病変を多く有することがCEにより明らかとなった。便中カルプロテクチン測定は、CE適応患者の絞り込みに有用であると考えられた。

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© 2019 本論文著者
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